第71回選手権 準決勝

TEAM

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

TOTAL

仙台育英(宮城)

尽誠学園(香川)

【コメント】

真夏の真っ青な青色の空が秋を感じさせる水色の空に変わった準々決勝、いつもの大会よりも秋を感じさせられるのは、仙台育英、秋田経法大付と東北勢が2校進出してるからと思うのは私だけでしょうか。スタンドは前日、候補の元木を要する上宮が敗退した事で、この日は落ちついた感じの中で試合が開始しました。

仙台育英は大越(ダイエー)尽誠学園は宮地(西武)と両左腕の投げ合い、両者の直接対決も見応えがある試合でした。また、尽誠学園には谷(オリックス)も居たんですね。ライトで1番打者でした。

【資料概要】
制作 NHK、実況:水野節彦氏、解説:野村徹氏。
【試合概略】

尽誠の先発は宮地。宮地投手は風邪で発熱をしており、前日の準々決勝戦後も病院へ直行し、栄養剤を点滴。熱は38度2分と高いがこの日も強行して先発。

1回の表:仙台育英は大山から。宮地は熱発とは思えないくらいキレのあるストレート投げ込み、大山を高めの見せ玉ストレートで空振り三振。はっきり判るボール球、無駄球というのがなく上場の立ち上がり。しかし、2番:茂木には四球、3番:大越には強気に内角高めを責め追い込むも、2−1からの外への外し球が真ん中高めに入ったところを大越が見逃さず、力で左中間へ。尽誠センターの井上が地上すれすれで捕球かと思ったがグラブの下をすり抜け3塁打し先制。大越は一回戦の鹿商工戦でも見せたように、相変わらずのヘッドスライディング。ピッチャーとは思えない闘志が目を引きます。その大越は続く、4番:佐藤の4球目のスライダーがワンバウンドを捕手が捕球出来ず、2点目を入れる。その4番:佐藤も次の外角高めのストレートを上手く右中間に流すが、ライト:谷がスタート良く、俊足を飛ばし好捕。5番:藤原は遊ゴロでチェンジ。

1回裏、尽誠の攻撃は谷から。谷は大越のキレのある外角低めカーブを空振り三振。谷には全てカーブでした。続く、芝原はカウント2−3からの内角速球を見逃し三振。あのインコースの球は手が出ませんね。3番:宮地はアッパーな豪快なスイング。しかし、大越は低めのボールになるフォーク?を打たせ三ゴロ。仙台:山口が三遊間の難しい当たりを好捕し、三者凡退。


2回表、6番:村上から。初球を叩く素晴らしい当たりも左直。7番:山崎は内角高めの速球に詰まり遊ゴロ。宮地のやや腕が下がった位置から投じられる速球は浮き上がって見えるんでしょうね。当然、威力も感じられます。8番:山口は高めのカーブを叩き、三ゴロ。チェンジ。

2回裏、先頭は4番の永原から。宮地同様、振りが思いっきりがいいというか、大きいというか見てて気持ちいいです。カウント2−2からの外角速球を見逃し三振かとベンチに帰るも審判はボールのコール。次の一球も外れ、四球。無死1塁。続く吉田は当然バント。一塁側に上手く転がし、1死2塁。6番:本村には甘い真ん中のスライダーを大越が投げ込むも打ち損ねて遊飛。7番:井上は外角速球を空振り三振。チェンジ。

大越も一回、沈み込むような投球フォームからズバッと浮き上がって来るような速球を投げ込み、かなり打ち込むのは難しい投手と感じました。


3回表、9番:村上から。宮地の横に大きく割れるカーブに手が出て空振り三振。一番に戻り大山はストレートの四球。2番:茂木が1死からしっかりバントエンドランを決め2死2塁とするも、3番:大越が宮地の内角速球に詰まり一邪飛。その前のボールが顔の近くに来た分、スイングの始動が遅れた感があります。

3回裏、先頭は8秋本から。カウントを2−3と粘るも。真ん中速球を見逃し三振。9番:木村もしぶとくファールで粘り四球、大越に10球投げさすしぶとさでした。続く1番:谷は初球の外角スライダーを打つが三ゴロで1走が2封。2番:芝原は初球の真ん中速球を左中間に2塁打。抜けたと思った打球はうまくレフトの大山が回り混み、谷が本塁をつけず、2死2,3塁。ここで宮地が登場も真ん中速球に押され三邪飛。大越が意地を見せました。


4回表、4番:佐藤から。3球目の内角高めを弾き返すも宮地の球威に押され二ゴロ。5番:藤原は捕邪飛。尽誠:本村捕手がネット前で好捕し2死。6番:村上は初球を狙い三ゴロも打球がイレギュラーし、サード秋本が弾きヒット。しかし、7番:山崎は初球をうち一ゴロ。宮地のコントロールが定まったところを仙台育英が早めに打つ作戦も球威に押された感がありました。

4回裏、こちらも4番:永原から。カウント2−3から真ん中高めを強震すると、打球はグーンと伸びライトラッキーゾーンへと誰もが思ったが打球はフェンス上部に当たるヒット。ライト:山崎も打球を追いすぎでラッキーゾーンまで追いかけたのがミス(と自分は想う)となり、跳ね返った打球は右中間に転々。その間に永原は3塁に達する3塁打。このチャンスに5番:吉田は初球の外角カーブを叩き、ライト定位置に打ち上げる飛球。タッチアップかと思われたが、永原は自重。ライト:山崎から素晴らしい返球で結果的に永原のナイス判断で1死3塁。6番:本村の時に大越の3塁牽制に3走:永原が飛び出しタッチアウト。直後の投球を本村がセンターに弾き返し、尽誠にとっては悔やまれる牽制死でした。つづく、7番:井上は粘って四球で2死1,2塁と再度、チャンスを広げるも8番:秋本の代打:村上はカウント2−2−から内角速球を空振り三振。尽誠は惜しいチャンスを逃した回でした。


5回表、8番:山口から。4球目の外角直球を弾き返し、ゴロで1,2塁間を破るヒット。9番:高橋(宗)は確実に三塁に転がし、1死2塁。打順は一番に戻り大山。カウント2−0からの真ん中速球を叩き打球は二遊間にショート芝原が二塁ベース付近で上手くボールをさばき2死三塁。二番:茂木も初球に手を出し、遊ゴロでチェンジ。

5回裏、9番:木村から。大越のワンバンドになるフォークに手を出し三球三振。1番:谷も初球の外角低めのスライダーに手を出し、三ゴロで2死。投球数の多い大越を助ける尽誠の攻撃です。2番:芝原は遊ゴロも、仙台育英:茂木が一塁への送球が高投となるエラー。ここで3番:宮地は相変わらずのアッパースイングで右中間への中飛。宮地の打席の時は外野手がフェンスを背にする守りが印象的です。


6回表、3番の大越から。カウント0−2からのストライクを取りに来た球を叩き、痛烈な遊直。捕球した尽誠:芝原のグローブがセンターに持って行かれそうな強烈な当たりでした。4番:佐藤は初球を右中間にライナーで運ぶヒット。ここで5番:藤原は右飛で2死1塁。6番:村上の三遊間を襲う打球。尽誠:ショート柴原がはじくエラーとなり、2死1,2塁のチャンスも宮地がここは踏ん張り、7番:山崎を三ゴロ。サード:吉田がそのまま三塁キャンバスを踏みチェンジ。

6回裏、5回までの投球が98球と後半戦のスタミナが気になる大越に対し、この回は4番:永原からカウント2−2からの外角低めのカーブをうまくためて、呼び込み三遊間を破るヒット。5番:吉田が確実に一塁に転がし1死2塁。ここで6番:本村が真ん中速球を弾き返すと素晴らしい打球がセンター横に飛ぶタイムリーで1点を返す。次の1点がどちらに入るか注目されたのですが尽誠に入ったことで混戦がこの辺から予想されてきました。つづく、7番:井上は1死ながら犠打で2死2塁。ここでこの試合初打席の吉田(直)は外角高めのボールを振り三振。チェンジ。しかし、尽誠の左打者7人の粘り強く力強い打線は大越の投球数を増やし、大越の疲労が手に取るように感じられてきていました。


7回表、8番山口から。初球を叩き中飛。9番:高橋(宗)はカウント2−3からの内角速球を空振り三振。1番:大山は2球目の内角速球に詰まり二飛。体調が不良と思われた宮地の調子が大越とは対照的に上がり、流れは完全に尽誠。

7回裏、尽誠は9番:木村から。初球を打ち遊ゴロ。1番:谷はカウント2−3まで粘り前の打席同様カーブを引っかける三ゴロ。しかし、仙台育英:大山がバウンドを合わせ損ね前へ弾いた分、谷の足が優り内野安打。2番:芝原は一塁へ犠打。この試合は1死からの犠打が目立つ尽誠です。この2死2塁で宮地。相変わらず大きい振りでバットが下から出てました。結局、内角高めの速球に詰まり投飛。チェンジ。


8回表、2番:茂木から。カウント2−1からの外角低めの速球を見逃し三振。宮地は内角、外角とコントロールも良くなり仙台育英に追加点を与えそうにない調子です。3番:大越は2球目の真ん中高めを強震。詰まりながらもフェンス手前まで運ぶ中飛。4番:佐藤はこれも宮地の内角高めの速球に詰まり遊飛。ますます、宮地の勢いを感じる投球でした。反対に仙台育英は2番からの好打順をあっさり抑え込まれ、もはやこのまま1点差で逃げるしかない!という感じではなかったでしょうか。

8回裏、当たっている4番:永原から素晴らしい当たりも多少大越のボールの力に押されたか中飛。風も味方したようです。5番:吉田(憲)は投ゴロ、6番:本村は真ん中直球を弾き返すもこれも若干、球威に押され中飛。1点差で逃げ切るという大越の気迫が感じられる投球でした。


9回表、5番:藤原から。相変わらず宮地の速球に威力があり、藤原も真ん中速球に詰まり中飛。6番:村上は詰まりながら広く空いた三遊間をゴロで破るヒット。この試合5本目のヒット。7番:山崎は確実に犠打で2死2塁。なんとしても1点欲しいという思いが感じられましたが8番:山口はカウント1−1から遊ゴロ。チェンジ。高いバンドでショート柴原が一か八かの捕球。ランナーがスタートを切っており、ボールがグラブに入らなかったら1点だけに素晴らしい守備でした。

9回裏、7番:井上に代わる代打:塩田。県予選でも打席に入った事がない塩田ですが力が有りそうな体格。カウント2−1からの高め直球を振り抜くと打球は3塁線を破るヒット、足が遅く2塁がクロスプレイなったが2塁打。8番:吉田(直)は大事な犠打を確実に投前に決め1死3塁。9番:木村はスクイズかと思われたが初球、2球目を強振でファールカウント2−0となり結局、カウント2−2からのスライダーを見逃し三振。直球しか頭になかった見逃し方でした。2死3塁となり1番:谷。カウント1−1からの外角低めを狙った直球がすごいシュート回転で谷の膝元に。キャッチャー佐藤が取れずにまさかのパスボールで同点。さすがの大越にも動揺がみられ谷には四球。ここは仙台育英、タイムを取り大越が落ちついたか2番:芝原を三ゴロにしとめチェンジ。試合は延長へ。


10回表、仙台育英は9番:高橋(宗)から。初球の内角ベルト付近の直球を打ち返し、ゴロで1,2塁間を破り、この試合初めての無死のランナー。一番:大山は送りバントかと思われたが、ヒットエンドランで遊ゴロ。1死2塁。この遊ゴロも芝原がなんかくさばいたが難しいプレイだと思います。2番:茂木はカウント2−0から真ん中低めを中前に2走:高橋(宗)が本塁をつくも、中堅:吉田(憲)がこの上ない強肩を見せホームに矢の様な返球。サードがファーストに投げるような送球で高橋(宗)はタッチアウト。捕手:本村のブロックも素晴らしかったです。しかし、続く3番:大越が初球の内角速球を詰まりながら中前に茂木の打球より更に詰まった打球で中堅:吉田(憲)も焦ったか、今度は送球がサード側に逸れ茂木が生還。ついに仙台育英が初回以来の得点でリード。大越はこの後3塁盗塁。この闘志はどこからくるのか感心させられますが、4番:佐藤はカウント2−3からの外角速球を空振り三振。

10回裏、尽誠は3番:宮地から。宮地への初球は胸元への速球。宮地が飛び跳ねて避ける投球。3球目の外角低めの速球を今度はコンパクトに上から振り抜き3塁線をライナーで破る2塁打。宮地は2塁上で両手をあげるガッツポーズ。4番:永原の初球はバントを見送り、宮地が大きく離塁。捕手から2塁へ送球されるも送球が高く、その分宮地は救われ間一髪セーフ。この離塁、リードに大越はかなり気を取られたか、2塁牽制を暴投し無死3塁。この牽制は宮地もリードしておらず、勿体ないミスでした。このチャンスで4番:永原は強打。内角低めを大振りしすぎで打球が詰まり三邪飛。5番:吉田(憲)は初球の真ん中高めの曲がらないカーブを叩き打球は中前に!と思った瞬間、大越が反応、ボールはワンバウンドでグラブに。大越がもぎ取ったというアウトで2死3塁。しかし、大越は6番:本村に死球を与え、サヨナラのランナーまでも出すが、最後は前の打席2塁打の塩田が遊ゴロ。仙台育英:ショート茂木がそのまま2塁ベースを踏み試合終了。大越、宮地の見応えある対決は最後に宮地を還すことの出来なかった尽誠が一歩及ばず、決勝進出は仙台育英になりました。しかし、この試合は終盤の6回以降は息をつかせぬ手に汗を握る好試合でした。

【エピソード】
仙台育英:気丈な大越も試合終了後のインタビューでは「延長になると負けると思っていた。勝てて良かった。腕が重いけど決勝は肩が壊れても完投する。」と涙声で話してました。大越投手も尽誠学園の強力な左打線に苦しんだでしょうね。素晴らしい気迫を感じる選手でした。

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